いつか迎える『別れ』について・・・

高齢の子と暮らしていて考えてしまう一番辛い事は

その子との別れの時だと思います。

私は高校生の頃、一度ペットロスになった事があります。

(今考えると、これがそうだったのかなと…)

我が家は、私が子供の頃からずっと犬がいる事が殆どで、高校生の時にも

私が中学生の時に父親が知り合いから譲りうけたコリー犬がいました。

私はよくその子と遊んだり日向ぼっこをしたりしていました。

でも・・・突然事故で亡くなってしまったのです。その子が4歳の時でした。

正直、私は身内が亡くなった時よりも落ち込みました。

そして、そんな自分を変だと思っていました。

あの何とも空虚な気持ちは今も忘れられません。

亡くなった日が夏の暑い日で青空だったので、暫く青空も嫌いでした。

私はこの事がきっかけで、動物看護師を目指しました。

専門学校に進んだ頃にもコリー犬の事を思い出しては詩を書いたりして、

今思えば、それがペットロスから立ち直るきっかけになったようです。

悲しい事を思って気持ちを吐き出す事で、現実を受け止められるようになった気がします。

子供の頃から動物とかかわる仕事をしたいと考えていた私は、

専門学校卒業後、AHTになりました。

そして、動物病院での勤務が始まり、様々な『死』の場面に出会い、

いつの間にか私は少しずつ『死』に慣れていってしまいました。

亡くなる事は悲しくて、もらい泣きをした事もありますが、

それでも慣れてしまっていたのではないかと、今は思います。

そんな私ですが、その中でもたまに思い出す。二つの『別れ』がありました。

一つは、三毛猫ちゃんと飼い主のお母さんとの別れ。そして、そのお母さんの言葉です。

その三毛猫ちゃんは口の中に腫瘍が出来て、自分では食べられなくなり

余命がもう長くはないと言われていました。

年齢は13歳で、FIVキャリアの子でした。

ある日、これからの治療をどうするかと先生と検討中の時でした。

「○○さん(emuの事)なら、雪ちゃんがこうなったらどうしますか…?」

と訊ねられました。

飼い主のお母さんは、今までもこの子はずっと頑張ってきたし、

ただの延命治療になるなら、もうこれ以上の治療はしたくないと

考えているようでした・・・。私は言葉に詰まりました。

本当にこの子のためにどうしたらいいのか・・・。ちゃんと答えられませんでした。

あの時のお母さんの顔はとても切なくて、今思い出しても悲しくなります。

この三毛猫ちゃんは頑張ったのですが、その後亡くなりました。

悲しく辛い『別れ』の思い出です。

もう一つの別れは、高齢のワンちゃんでした。

この子は、確か引っ越して来て、動物病院に最初に来た時に

もう寝たきりになっていました。

16歳という年齢なのにとても綺麗で、とても大切にされていました。

でも、やはりこの子にも家族との別れの時が来たのでした。

この子が亡くなって暫くしてから、ご家族の方が病院にお礼に来てくれた時の事です。

「亡くなってしまったのは、とても悲しいですが、やれるだけの事は

してあげられたので・・・。」と、少し言葉には詰まってはいましたが、

飼い主さんのその顔はすごく穏やかに見えたのでした。

この『別れ』は私の中ではある意味新鮮でした。

私はある勉強会で、「ペットロス」について学んだ事があります。

※ペットロスについてはこちらに詳しく書くつもりはありません。

(とてもデリケートなことで、この場では書き切れません・・・)

そこで、ペットにどんなに尽してあげた飼い主さんも、必ずと言って良いほど

後悔をすると講師が言っていました。

確かに、私が見てきた様々な『死』の場面で、大きさの違いはあれ飼い主さんの

『後悔』はあったように思います。

 

 あの時もっと早く病院に連れて行けばよかった…。

 この治療を選択して、逆にこの子の死期を早めてしまわなかったか…。

 この子は、ここまでの治療を望んでいたのか?そのせいで苦しめてしまったのではないか…

 この子のお世話をしたのが私でなければ、この子はもっと長生き出来たのではないか…?

その理由は様々ですが、自分のした行動に後悔をしている飼い主さんを

見ることが何度かありました。

『別れ』はいつかやってきます。その時に後悔したくないと思う人が殆どでしょう。

だから、上に書いたワンちゃんの飼い主さんの表情が新鮮に思えたのでしょう。

でも、もしかしたらこのワンちゃんの飼い主さんにも

ほんの僅かなものでも後悔はあったのかもしれません。

私も、『その時』まで…色々と悩み体験をし、切なかったり辛かったり、

喜怒哀楽を感じていくのかな。

なるべく後悔をしない自分でいたい、でもそれは無理なんだろうな・・・。

だけど、それまで考え過ぎないで、楽しく暮らしたい。

楽しい思い出を沢山作れるように・・・。

今、私はそんな事を思っています。

                           2007.10. 12